抗体が体内に残る期間は?新型コロナウイルス感染症(COVID-19)再感染防止に高い期待
監修医師プロフィール
堤 直也
社会人経験の後、医学部学士入学を経て、医師となる。
国立病院機構等勤務のあと青い鳥会に勤務し現在に至る。
総合内科医、在宅医療の専門医として在宅医療の意味に真摯に向きあう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体が体内に残る期間を知っていますか?
体内に病原体が侵入してきた時に作られる抗体ですが、すぐには作られません。
数日から数ヶ月で体内に抗体が作られると考えられていて、抗体の種類により作られる期間や体内に残る期間も異なります。
この記事では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対抗する抗体が体内に残る期間や、抗体が作られる期間について紹介していきます。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査で調べる抗体が作られる期間
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における抗体検査で調べるのは2つの抗体ですが、実は抗体には全部で5つの種類があります。
- IgM⇒最初に産生される
- IgG⇒オプソニン化や中和作用が最も強い
- IgA⇒血、鼻汁、唾液などの粘膜系に発現される
- IgD⇒正確な機能は不明
- IgE⇒アレルギーに大きく関与する
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体検査で調べるのは、IgM抗体とIgG抗体の2種類です。
それぞれが体内で作られる期間について、まずは簡単に説明していきましょう。
IgM抗体は体内に異物が侵入してきた時に、まず初めに作られる抗体です。
感染初期に作られて短期間で消失するという特徴を持っていて、IgG抗体よりも抗原に対する親和性は低いとされています。
後に作られるIgG抗体は危険因子の無毒化、抗原の認識に最も重要な抗体です。
胎盤を介して赤ちゃんへ供給されるので、免疫が発達するまで子どもを守ってくれる強い抗体です。
これらの抗体が体内で作られる期間はどれくらいですか?
抗体が作られる期間は人によりさまざまですが、一般的にはIgM抗体は感染から1週間以内に作られ、IgG抗体は感染後期から1ヶ月を目安にしています。
しかし、これらの期間はあくまで目安なので人により作られる期間はさまざまです。
IgM抗体は感染初期に作られて短期間で消滅し、IgG抗体は少し遅れて作られるが長期間体内に残ると覚えましょう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体が体内に残る期間
IgM抗体かIgG抗体が体内にあるかどうかを調べる抗体検査ですが、体内にはどれ位の期間残り続けるのでしょうか。
以下で、横浜市立大学の研究グループが発表した研究結果を紹介していきましょう。
一度新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染すると、体内に抗体ができて再感染を防いでくれますか?
多くの感染症は体内にある抗体が消滅してくれますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては絶対に再感染はしないと断言することは現状できません。
しかし、ウイルスに対する免疫耐性が完成している可能性は十分にあります。
体内で作られた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体は、体内にどれくらい残りますか?
横浜市立大学の研究グループが発表した研究結果によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した376人のうち98%が、再感染を防ぐ中和抗体を半年後も保有していたとしています。
無症状と軽症が280人、中等症が71人、重症が25人と症状も年齢も性別も別々の376人を調査した結果なので、多くの方が半年以上は抗体が体内に残るということが分かっています。
中和抗体とは何ですか?
中和抗体とは、ウイルスに結合してその感染力を失わせる中和作用を持っている抗体のことです。
従来までは感染から数ヶ月で中和抗体は激減するといった報告が主流でしたが、研究グループの山中教授は、減りやすい抗体を測っている例が多かったからだと指摘しています。
中和抗体を持っている人は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への再感染の可能性は低いとされていますので、最低でも半年間は多くの方が再感染を防ぐことができるとしています。
つまり、抗体検査でIgG抗体の陽性判定が出れば、中和抗体を体内に持っているということですか?
その通りです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の研究は現在進行形で進んでいるものなので、この中和抗体がいつまで体内に残るかはまだ不明です。
今回の研究結果では『少なくとも半年以上は残る』としていますが、1年以上もしくは2年以上体内に残る可能性もあります。
今後の研究結果を見ながら、抗体がいつまで体内に残るかは随時チェックしていきましょう。
まとめ
抗体が体内で作られる期間や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対抗する抗体が体内に残る期間について解説してきましたが、参考になりましたか?
抗体を持っていれば絶対に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に再感染しないと断言はできませんが、再感染のリスクは低いとされています。
最低でも半年間は多くの方が抗体を持つことが研究データから判明していますので、抗体を持つことが感染予防に繋がることは間違いありません。
現在、世界が注目しているワクチンはこの抗体を体内で作り出す仕組みを利用しています。
ワクチンを接種して体内に先にウイルスに対する免疫を作ることで、感染を防ぐのです。
抗体が体内に残る期間の長さは、ワクチンを接種してからいつ頃まで感染予防になるのかという目安にもなります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防対策で抗体検査を受けようかと考えている方は、期間についてもしっかりと把握しておきましょう。
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