【新型コロナウイルス】待機すべき期間は?どれくらいの期日があけば安心できるのか
監修医師プロフィール
リチャード・カシンスキー
2010年 京都大学大学院医学研究科博士課程後期修了(医学博士)
2014年 神戸大学医学部医学科卒業(医師)
2016年 ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院麻酔科・集中治療科フェロー修了後、東京大学大学院医学系研究科法医学教室客員研究員を歴任
現在 コンゴ共和国医療最高顧問、心和会 江東メディカルタワー総院長、都立広尾病院救命救急センター医師、スタンフォード大学医学部スタンフォードソリューション共同創設者、あしなが育英会評議員他を務める
デルタ株が猛威を振るった第5波では、全国での新型コロナ入院患者数は過去最大を記録し、一時は20万人を超え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の累計入院患者数においては80万人に達しました。
現在第5波は、8月をピークに収束しつつあります。
日々発表される新規感染者数も日々連続して減少傾向に転じています。
しかし、新規感染者数が0になるまでは安心できないと言っても過言ではありません。
また今日ワクチン開発や治療薬の開発に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について様々なことが解明され始めてきました。
今回は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する最新情報「コロナウイルスは何日待機する必要があるか」について、医療法人社団心和会江東メディカルタワー総院長のリチャード・カシンスキー先生に教えていただきます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の潜伏期間と待機期間
WHOの報告では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の潜伏期間は、1~14日間ほどとされており、感染してから症状を発症するまでの平均期間は 5~6日ほどとされています。
一般的に厚労省から言われているのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したら、10日待機とありますが、実際にはどのぐらいで消えますか?
待機期間に関しては、厚労省にのっている情報が正しいですが、症状がある場合とそうでない場合に分ける必要があります。
症状があるときはどれくらい待機している必要がありますか?
例えば、咳、喉の痛み、頭痛、嗅覚障害、味覚障害など、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状があるとします。
このような有症状の方は厚生省で明記されている通り10日間です。
テレビでも10日間というのは耳にしていましたが、それって陽性とわかった時や症状が出始めた時など、数えるタイミングによって大分違いますよね。
厳密にはいつから10日間と考えればいいんですか?
10日間カウントの始まりは、PCR検査で陽性になってからではなく、症状が出始めてからです。
そして、この10日間の待機の後には、症状が軽快してから72時間経過している、または24時間以上空けて2回PCRなどの検査を行い陰性であることのどちらかが加わります。
症状が出てから10日間経っていても、症状がまだあるようであれば10日間ルールは当てはまりません。
症状が出てから10日間を数えて、そこから症状が出なくなってからさらに72時間経てば待機を終えていいんですね。
無症状ではまたルールが違うんですか?
症状が元々ない無症状の場合、検体を採取した日から10日間経過している、または採取日から6日経過後に24時間以上空けて2回PCRなどの検査を行いともに陰性が確認されれば、療養解除となります。
PCR検査の仕組みと陽性が意味することとは
テレビで芸能人がコロナウイルスに感染したと報道がよくありました。
PCR検査で陰性にならないと仕事に復帰できなかったり、10日後に治っていてもPCR検査が陽性になってしまったり、問題が出ているようですね。
芸能界だけでなく一般社会の方達にもかなり大きな問題になってると思います。
PCR検査は何を元に検査しているかわかりますか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染しているかどうかがわかるイメージだけで、実はあまりよくわかりません……。
PCR検査は細胞の遺伝子情報である「核酸」、いわば細胞の部品を検知しています。
しかし、ウイルスの核酸を確認できたとしても、感染力があるかどうかについては測ることはできません。
PCR陽性=感染力を持っているというわけではないんですね。
その通りです。これについて、現在興味深い研究がなされています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染後、症状が軽快し10日経過した人達を対象にPCR検査の陽性がいつまで出るのかを観察するというものです。
研究結果では、人によっては無症状であるものの3ヶ月後でもPCR検査が陽性になるケースがありました。
3ヶ月後も陽性だった人は、周囲に感染させる可能性はあるんですか?
いいえ、そうではありません。
これはあくまでPCR検査が検知している細胞の部品が残っているというだけで、感染力を持ったウイルスを体内に宿しているわけではありません。
発症からどのくらいまで、感染力を持ったウイルスがいるのでしょう?
これまでなされている様々な研究では、発症からおよそ9日目までは造成可能なウイルス個体がいるとわかっています。
しかし、10日後以降になると、生きているウイルスは基本的にはいません。
よほどの症状が出ていたり何か特記すべき理由がなければ、10日経過した軽快後のPCR検査は要らないでしょう。
検査を受ける側の私達もPCR検査のしくみをしっかり理解することは大切ですね。
そうですね。PCRという検査の原理や、PCRの限界、どういった場合に受けるべき検査なのか、もう少し深く幅広くみなさんに理解していただくと、無駄な検査につながらないのかなと思います。
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先生、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はどのくらいの潜伏期間があるんですか?