植物幹細胞とヒト幹細胞は何が違うの?

幹細胞コスメと言われる商品群には、植物幹細胞培養液を謳ったものも多く出回っています。「植物」と聞くと一見お肌に優しいようにも感じるけれど、ヒト幹細胞といったい何は違うの?そんな疑問を持たれている方もきっと多いはず。今回は、その疑問にDLJステムセル博士がお答えいたします。

植物にも幹細胞はあり、再生力を発揮している

植物にも高い再生能力が備わっているものがあり、古くから挿し木や葉挿しなどによって植物が伸びてくることが知られていました。挿し木は、成長した植物の茎を切り取って、それを土に挿す方法です。一定の条件を整えてあげると、そこから根がはって、また新しく成長を続けることができるのです。

ヒトでは絶対にこのようなことは起きませんので、植物がもつ再生の力はすさまじいことが分かります。植物が切られたり、傷を負ったりすると、その先端組織の中では、これからいろんな組織に分裂することができる幹細胞が生み出されます。そして、この幹細胞をきっかけにして周囲の細胞に働きかけ、もういちど成長の過程をやり直してくれます。

このお話をヒトの場合と照らし合わせると、再生のプロセスにおいて幹細胞が中心的な役割を果たしていることは同じなのですが、その仕組みは植物とヒトでは大きく異なります。

植物とヒトの幹細胞の決定的な違いは、情報伝達の方法にあり

ヒト幹細胞は、周囲の細胞に対して「今これが足りないから、この成分を作って!」といった指示をだすような物質を分泌します。その物質は何百種類にも及ぶと言われていますが、その代表的なグループが「サイトカイン」や「成長因子」です。これらの物質は、誰彼かまわず指示が届くのではなく、特定の相手となる細胞にしか届かないようになっています。

なぜそのような選別が可能かというと、ヒトの細胞の表面には、特定の物質だけを受け取る「レセプター」といわれる構造があり、指示出し成分とレセプターの間に、「カギとカギ穴」の関係が成り立っているためです。

しかしながら、植物の細胞にはこのような「カギとカギ穴」の関係が存在しないため、植物とヒトでは幹細胞の情報伝達方法を同じ理屈では語れないのです。

植物幹細胞エキスに美肌効果はある?ない?

植物とヒトで、幹細胞の仕組みが異なることはご理解いただけたかと思いますが、それでは植物幹細胞から得たエキスをヒトの肌に塗っても効果はないのでしょうか?植物幹細胞エキスは、まず植物の幹細胞を取り出してきて、それを人工的に培養して細胞を増やしたのち、エキスを抽出しています。これを化粧品に配合して作るわけなのですが、こうして抽出したエキスの中には、抗酸化作用や保湿効果に優れたものもあります。

このエキスが、ヒト幹細胞が普段活動している「仕事の代わり」はできないにしても、別のアプローチで一定の美肌効果は期待できるかもしれませんので、まったく効果がないとは言い切れないでしょう。

効果を求めるならば、やはりヒト幹細胞培養液

医療の分野でも、ヒト幹細胞を活用した研究は進んでいます。ヒトの幹細胞は身体の各組織に存在しており、ヒトが健康的な機能を維持して生きていくためには非常に重要な役割を担っています。植物とヒトでは幹細胞の仕組みが異なることはもちろんですが、たとえ同じ哺乳類であったとしても種が異なれば、やはりそれだけ細胞の反応は異なってくるのです。

ドクターズラボジャパンでは幹細胞培養液に関するさまざまな研究を進めています。そのなかで、興味深い結果が得られた実験がありましたので、ここでご紹介しましょう。それは、皮膚の奥に存在する繊維芽細胞に対して、さまざまな由来の幹細胞培養液を加えて、線維芽細胞の変化をみる実験でした。この実験において、ヒト由来の幹細胞培養液を、ヒト以外の線維芽細胞に加えたところ、その細胞の増殖力が弱まってしまったということがありました。これもおそらく前段でもお話しましたとおり「カギとカギ穴」の関係が合わなかったことが要因だと考えています。やはり、餅は餅屋、ヒトにはヒト幹細胞なのかもしれません。

ドクターズラボジャパンではヒト幹細胞培養液の研究データを基にスキンケア化粧品を開発しています。
Doctor’s Lab Japan公式サイトはこちらから