新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を最も受けた3つの業種を紹介
監修医師プロフィール
堤 直也
社会人経験の後、医学部学士入学を経て、医師となる。
国立病院機構等勤務のあと青い鳥会に勤務し現在に至る。
総合内科医、在宅医療の専門医として在宅医療の意味に真摯に向きあう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響で、我々の日常は大きく変化しました。
感染予防対策で経済活動は大幅に制限され、生産活動の停止などで雇用にも大きな影響を与えています。
リーマンショックの時よりも景気は悪くなり、緊急事態宣言が明けてから多少は回復したものの、未だ景気は悪いまま推移しています。
感染予防対策の外出自粛、テレワーク、3密回避などが大きく影響し、多くの業種に多大な影響を与えています。
コロナ倒産という言葉を聞く機会も多いかと思いますが、コロナ禍における営業に大きな支障をきたしている業種は数え切れない程あります。
この記事では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を最も受けた業種について紹介していきます。
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目次
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で倒産した会社
まず始めに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響がどれほど多くの業種に多大な影響を与えているか、帝国データバンクの「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連倒産」から見ていきましょう。
累計800件を超える
記事執筆時点(2020年12月17日)で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で倒産した会社の数は、法人と個人事業主を合わせて800件を超えています。
帝国データバンクの発表によると、2020年12月17日時点で倒産した会社は全国に814件。
そのうち法的整理が724件(破産690件、民事再生法30件、特別清算4件)で、事業停止が90件となっています。
そうなんですか…やっぱり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が広がるにつれて、倒産する会社も増えているんですか?
調査を開始した2月29日の週で倒産した会社は1件だけでしたが、そこから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染が広がるにつれて、倒産する会社も増えています。
月日 | 累計倒産件数 |
---|---|
2月29日 | 1件 |
4月10日 | 39件 |
5月10日 | 100件 |
6月10日 | 204件 |
7月10日 | 310件 |
8月10日 | 408件 |
9月10日 | 505件 |
10月10日 | 614件 |
11月10日 | 718件 |
12月17日 | 814件 |
出典元:帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連倒産」
毎月こんなに多くの会社が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で倒産してるんですね…。
平均して毎月約100件の会社が、全国のどこかで倒産しているということになります。
倒産するということはそこで働いていた方の雇用がなくなるということですから、働き手がないと苦悩している方も多くいらっしゃいます。
業種別の倒産件数
倒産件数は全国で800件を超えていますが、ここからは最も倒産件数の多い業種を紹介していきます。
全ての業種が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けているわけではありませんよね?
はい、プラスに転じた業種もありますが、多くの業種が大きな影響を受けていることには変わりありません。
倒産件数が多い業種は、以下の表を見て下さい。
業種 | 倒産件数 |
---|---|
飲食店 | 129件 |
ホテル・旅館 | 70件 |
建築・工事業 | 58件 |
アパレル・雑貨小売店 | 51件 |
食品卸 | 42件 |
アパレル卸 | 28件 |
出典元:帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連倒産」
やっぱりこれを見ると、飲食店が相当厳しい状況に追い込まれているんですね…。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響を最も受けているのは、倒産件数を見ると飲食店です。
続いてホテル・旅館、建築業やアパレルなどを販売している小売業も大きな影響を受けています。
やっぱり外出自粛の影響が大きいんですか?
そうですね、3密回避の影響で大人数での飲み会などはなくなり、外出自粛の影響で外食が減ったという方も少なくありません。
都市部に通勤していた方がテレワークになった影響で人が減り、相対的にお店に来店する人が減ってしまっているんです。
都道府県別では東京が最多
都道府県別でも倒産した会社の数は大きく異なります。
東京商工リサーチが発表した資料から、都道府県別のコロナ破産の会社件数を見てみましょう。
日本全国で一番新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で倒産した会社が多いのはどこですか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が多く、経済活動に大きな影響を与えている都道府県が倒産している会社も多いです。
下の表を見てみましょう。
都道府県 | 倒産件数 |
---|---|
東京都 | 150件 |
大阪府 | 69件 |
北海道 | 32件 |
兵庫県 | 30件 |
神奈川県、愛知県 | 29件 |
出典元:東京商工リサーチ
東京都が飛び抜けて一番多いんですね。
これは2020年11月9日時点の調査になりますが、感染者数が増え続けている東京都が全国的に見ても最も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けている都道府県であると考えて間違いありません。
倒産件数も東京都がずば抜けて一番多く、次いで大阪や北海道など、こちらも感染者数の多い都道府県が倒産件数が多くなっています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けた3つの業種
多くの企業に多大な影響を与えた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。
業種別倒産件数でも上位にランクインしている『飲食業』『観光業』『小売業』に焦点をあて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で受けた影響について紹介していきます。
飲食業
倒産会社件数でもトップにランクインし、コロナ禍で多大な影響を受けている飲食業。
緊急事態宣言、営業時間短縮要請、密回避のための席数制限など、外食産業は未曾有の厳しい危機に直面しています。
通年で過去最多に迫る倒産件数
休業要請や営業時間の短縮、外出自粛による客足の減少など、飲食業界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響を最も受けている業種であると言えます。
GoToEatキャンペーンがありましたが、それでも飲食店の経営状況は苦しいままですか?
確かに前向きな意見は多く客足が増えたと回答している飲食店も多いものの、依然として厳しい状況に置かれていることも確かです。
2020年度上半期(4月〜9月)に倒産した飲食店は392件で、このままのペースで推移すると飲食店の年間倒産件数は最多を更新する可能性があります。
そんなに厳しい状況なんですか…。
売上はどれ位落ちてしまったんでしょうか?
飲食店.COMというサイトの調査によれば、8割以上の飲食店が売上が減ったと回答していて、過半数以上が30%以上売上が低下したと答えています。
営業時間短縮で22時閉店になった飲食店が多いのですが、お酒を提供するお店にとって22時以降は最も売上を伸ばせる時間帯です。
ゴールデンタイムに営業ができないというのは、飲食店の売上にとって大きなダメージとなります。
業態別では居酒屋が最多倒産
一口に飲食業と言ってもさまざまな業態がありますが、ここからは業態別の倒産件数を見てみましょう。
飲食店の業態によっても倒産件数は異なりますか?
帝国データベースの調査によれば、最も倒産が多かった業態は居酒屋が含まれる酒場で98件、次いで中華料理店で55件、西洋料理店54件、日本料理店40件と続いています。
やっぱりお酒を飲む酒場のダメージが一番大きいですか?
居酒屋などの酒場はもともと倒産件数が多い業態ですが、今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で大きく売上を減少させています。
時短短縮要請で最も売上を伸ばせる時間帯に営業することができず、3密回避で大人数の宴会などもなくなってしまいました。
これにより、大きく売上を減少させたお店が多いんです。
観光業
会社倒産件数でも上位にランクインしている「ホテル、旅館」は、観光業に該当します。
国内の観光客が減少しただけでなく、海外からの観光客が減ったことも大きく影響しています。
観光業もコロナの影響を受けていますか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染の影響が短期的に壊滅的だった業種は、間違いなく観光業です。
以前に比べれば現在は持ち直したものの、特に緊急事態宣言が発令された4月と5月は壊滅的で、消費者の旅行に対する消費意欲が著しく低下してしまったことも大きな要因に挙げられています。
海外から日本へ旅行に来る人を制限しなくてはいけないというのも、やっぱり大きかったんですか?
訪日外国人は、統計開始以来最低の数字になっています。
2020年4月に関しては昨年比で99.9%減の2900人しか日本に来ていません。
海外からの観光客を狙って観光業を営んでいる旅館や周辺地域のお店は、壊滅的なダメージを受けているのが分かるでしょう。
海外からの観光客を当分は増やせないと考えると、やっぱり今後も観光業は厳しいままですか?
GoToトラベルで少し持ち直したとはいえ、国外観光客が増えなければ苦境に立ったままの観光地は多いです。
しかし、東京オリンピックが無事に開催されれば、それが観光業の特需になる可能性もあります。
国の政策で旅行を後押しするキャンペーンは今後も継続される見通しなので、期待感は高い業種であるとも言えます。
小売業
外出自粛により、消費者の価値観が変化しています。
外で買い物をする機会が極端に減ったという方も多いかと思いますが、それは実店舗で商品を販売している小売業にも多大な影響を与えています。
行きつけの洋服屋さんが潰れていました…。
やっぱり小売業は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が多い業種になりますか?
小売業は、実際にお店に消費者が来てくれなければ商売が成り立ちません。
消費者が外出を控えたことで実際に来店するお客さんの数が極端に減少し、売上低下に大きな影響を与えていることは間違いありません。
小売業の中でも影響を受けたものと受けていないものはありますか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響を受けずに売上が低下しなかったのは、食料品や日用雑貨を販売しているスーパーマーケットです。
外出自粛でも日用品は購入しなければなりませんので、需要は低下しませんでした。
反対に売上が大きく低下したのは、服飾品や雑貨などを販売している小売店です。
この時期にわざわざ外で買わなくてもいいかなって皆が思ってしまっているんでしょうか…?
消費者の考え方の変化も影響しています。
外出自粛により、外で買い物をするよりもネット通販で買い物をするという方も増えていますし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で給料が下がったことで日用品以外の買い物を節約しなければいけないという考えが根付いている方も多くいます。
まとめ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けた3つの業種について紹介してきましたが、参考になりましたか?
経済活動が低下し、多くの会社に多大な被害をもたらした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。
外出自粛の影響により、外で積極的に買い物をしなくなったという方も多いかと思います。
国の施策により、観光業や飲食業を盛り上げようという取り組みは、今後も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が落ち着いてからも実施されるはずです。
感染予防対策を行いつつ、消費が落ち込み苦境に立たされている業種への理解を深め、経済活動を皆で回していく取り組みが重要です。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で倒産した会社が800件を超えたとのことなんですが…。
その内訳はどうなっているんですか?