COLUMN

ICheckコラム

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症で発症する主な3つの症状

監修医師プロフィール

堤 直也

社会人経験の後、医学部学士入学を経て、医師となる。
国立病院機構等勤務のあと青い鳥会に勤務し現在に至る。
総合内科医、在宅医療の専門医として在宅医療の意味に真摯に向きあう。

新型コロナウイルスのイメージ

世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、症状が治まり回復しても後遺症で苦しんでいる方が多くいます。

後遺症が残るのは高齢者と重症者だけと勘違いしている方が多くいますが、軽症者であっても心肺に大きなダメージを受ける後遺症を負う危険性はあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は現在進行系で蔓延しているウイルスなので、明確な後遺症のエビデンスはまだ確立されていません。

しかしながら、実際に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復し、多くの方が苦しめられている後遺症には共通点もあります。

この記事では、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症に焦点をあて、分かりやすく紹介していきます。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症とは

胸に手を当てるポーズ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大当初、WHOは軽症なら2週間、重症でも3〜6週間ほどで完治すると発表していました。

しかし、現在では長期的に症状が続く後遺症の報告が世界中で相次いでおり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は症状が落ち着いても後遺症が残る可能性があるとの見方を示しています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症についてはまだ調査が続いている段階ではありますが、ここからは各国の調査結果をまとめて紹介していきます。

87.4%の人に何らかの症状が残るとの調査結果も

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の被害が深刻なイタリアのジェメッリ大学の調査結果によると、退院してから87.4%の人が何らかの症状が残ると発表しています。

ユーザー

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で後遺症が残る確率はどれくらいなんですか?

ICheck

イタリアローマにあるジェメッリ大学は、退院してから87.4%の人が何らかの症状が残ると発表しています。

フランスからの報告では、発症してから110日後の調査で回答した120人のうち、約3割の人が後遺症があると回答しています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は現在進行系で調査が続いているウイルスです。

後遺症が残る確率はこれ位と断言することはできませんが、多くの人が苦しめられているのは確かです。

ユーザー

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の被害が深刻なヨーロッパでは、どのような調査結果が出ていますか?

ICheck

イタリア、フランス、ドイツで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症に関する調査報告が発表されていますので、詳しく見ていきましょう。

まずはイタリアからです。

  • 倦怠感⇒53.1%
  • 呼吸困難感⇒43.4%
  • 関節痛⇒27.3%
  • 胸痛⇒21.7%
ユーザー

倦怠感が最も多いんですね…。

日本でも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療が終わったのに倦怠感が抜けないという話は聞いたことがあります。

ICheck

日本だけでなく新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症で最も多い報告は倦怠感で、これはイタリアでも同様です。

上記以外にも、嗅覚脱失、鼻炎、眼球充血、めまい、下痢など、さまざまな症状が確認されています。

ユーザー

他の国でも似たような結果になっているんですか?

ICheck

実は、同じヨーロッパでもフランスではまた違った調査結果になっています。

  • 倦怠感⇒55%
  • 呼吸困難感⇒41.7%
  • 記憶障害⇒34.2%
  • 睡眠障害⇒30.8%
  • 集中力低下⇒26.6%
  • 脱毛⇒20%
ユーザー

上位にランクインしているのは似ているけど、他が違いますね。

ICheck

調査の仕方にもよるかと思いますが、フランスでは記憶障害や睡眠障害といった後遺症に悩まされているということが良く分かります。

またドイツでは、診断後70日後に血液検査や心臓MRIを実施した結果、78%の人に心臓MRIに異常があるとの報告もあります。

複数の病態が複合的に絡み合った病態

さまざまな症状で苦しめられる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症に関しては、世界各国で研究が進められ、病態の解明に取り組んでいる最中です。

しかし最近、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症は単一の病態ではなく、3つの病態が複合的に絡み合った病態だということが判明しています。

ユーザー

3つの病態が複合的に絡み合った病態というのはどういう意味ですか?

ICheck

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症は単一の病態が原因ではなく、4つの症状が絡み合うことで発症する病態であるということです。

3つの症状とは、『肺や心臓への恒久的障害』『集中治療後症候群』『ウイルス後疲労症候群』です。

ユーザー

この3つの症状を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療中に発症するから、後遺症が残ってしまうということですか?

ICheck

簡単に言うと、そういうことです。

肺や心臓への恒久的障害は軽症患者からの報告があり、集中治療室から退院した後に生じる身体機能、認知機能、精神の障害を指す集中治療後症候群も、重症者の方から特に多くの報告が寄せられています。

ユーザー

最後のウイルス後疲労症候群とは何ですか?

ICheck

フランスでは記憶障害、睡眠障害、集中力低下などの後遺症で悩んでいる方が多いと先ほど説明しましたが、実はこれはウイルス後疲労症候群の症状だと言われています。

複合的に絡み合った病態が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症として多くの方を悩ませています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症で発症する主な症状

だるさのイメージ

ここからは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症で発症する可能性が高い症状と、その特徴を詳しく紹介していきます。

倦怠感

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症で最も多い症状は、倦怠感です。

前述した各国の後遺症を訴える方の症状を見ても分かる通りですが、日本でも多くの方が全身の倦怠感に苦しめられているのが実情です。

ユーザー

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症でよく聞く倦怠感とは、どういった症状ですか?

ICheck

倦怠感とは、何もしていないのに体がだるい、疲れた、疲れやすくなったと言った症状を指します。

これだけ聞くと疲れたら休めば良い、ゆっくり寝れば治りそうと思う方もいるかもしれません。

しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症の倦怠感は、重症化して日常生活に大きな支障をきたしている方も多くいらっしゃいます

ユーザー

倦怠感が重症化すると、どうなるんですか?

ICheck

例えば日常生活において、歯ブラシを持つのが辛いという方や、通勤するために駅に歩くだけで疲れてしまう、小さな子どもがいる家庭では、抱っこするのも料理を作るのも辛いといった報告があります。

ユーザー

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症で倦怠感を発症した場合、どうしたら良いんですか?

ICheck

世界各国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症の研究は進んでいますが、まだ明確な治療法は確立されていません。

和歌山県が県内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染して2週間以上経過した人へのアンケートでは、46%もの人が倦怠感の症状を訴えています。

しかしながら、まだ明確な治療法が確立されていませんので、手探りの治療が続いているのです。

ユーザー

医師へ相談しても意味がないということですか?

ICheck

いえ、そういうわけではありません。

医師に相談し、共に適切な治療法を手探りで探していくことをおすすめします。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症に理解のある医師もたくさんいらっしゃいますので、倦怠感で悩んでいる方は、まずは医師へ相談しましょう。

呼吸困難感

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症で、倦怠感と同等かそれ以上に多いのが呼吸困難感です。

2020年7月10日には、厚生労働省が約2,000人を対象に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症について調査することを発表しました。

呼吸器の機能低下を中心に原因究明を進めることになり、日本呼吸器学会も7月17日に研究を開始すると発表し、現在も調査が続いています。

ユーザー

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症の呼吸困難感とはどういう症状ですか?

ICheck

簡単に言えば、息切れです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療が終わり日常生活に戻った後でも、少し歩いたり運動しただけで激しく息が切れ、たくさんの空気を吸い込むことができずに常に息苦しい感じがするといった症状が報告されています。

ユーザー

呼吸がしにくくなるということは、肺に異常をきたしてるということですか?

ICheck

はい、そもそも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染症は呼吸器系に影響を及ぼす疾患なので、呼吸器への後遺症は不可避です。

中国鄭州大学の調査では、退院した55人のうち39人の胸部CT画像に異常が見られ、そのうち14人は肺機能の異常も確認できています。

味覚・嗅覚障害

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症として、味覚障害と嗅覚障害も多い症状です。

アイドルグループNEWSの小山慶一郎さんはテレビ番組で、退院してからも味覚や嗅覚が戻らないから食事が楽しめないとコメントしました。

3月に感染したイギリスのチャールズ皇太子は、6月になっても味覚と嗅覚が回復しなかったと回答しています。

ユーザー

味覚と嗅覚の症状はどのようなものですか?

ICheck

何を食べても何を嗅いでも無味無臭、これが味覚・嗅覚障害です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染によって味覚や嗅覚を司っている神経が破壊され、修復までの時間にこういった症状が出ると考えられています。

ユーザー

味覚と嗅覚の症状は後遺症ではなく、コロナの初期症状でもありますよね?

ICheck

はい、発熱が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期症状として知られていますが、味覚と嗅覚の障害も発症するケースがあります。

鼻も詰まっていないのに急に味や匂いが分からなくなったという方は、事前に病院に連絡した上で診察してもらいましょう。

まとめ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症で主に発症するとされている症状を3つ紹介しましたが、参考になりましたか?

倦怠感、呼吸困難感、味覚・嗅覚障害は最も発症する可能性が高い後遺症ですが、他にも食欲不振、喉の痛み、下痢、結膜炎、頭痛、皮膚の発疹、胸の痛み、言語障害、脱毛などが報告されています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は現在進行系で拡大を続けているウイルスであり、後遺症に関しても解明されていない点が多くあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の驚異は治療が終了した後も続く可能性がある、これを皆さんひとりひとりが理解し、拡大防止のための予防策をしっかりと行っていくことが大切です。

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