新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンとは?有効性や安全性に関する3つのポイント
監修医師プロフィール
堤 直也
社会人経験の後、医学部学士入学を経て、医師となる。
国立病院機構等勤務のあと青い鳥会に勤務し現在に至る。
総合内科医、在宅医療の専門医として在宅医療の意味に真摯に向きあう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の完全終息には、ワクチンが必要不可欠といわれています。
現在、世界各国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの開発や臨床試験が行なわれており、日本もその国の一つとなっています。
高い感染力を持つ新型コロナの感染拡大が、ワクチンの提供によって1日でも早く落ち着いてほしいと誰しもが願っていますが、ワクチンの有効性や安全性を心配する声も一部で上がっています。
そこでこの記事では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンとは何かをご説明した後、皆さんが気になっている有効性と安全性についてご紹介していきます。
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目次
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンとは?
中国の武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、中国からヨーロッパ、そしてアメリカなどで爆発的に感染が拡大し、その後は世界中の国で大流行しました。
未知のウイルスの前に多くの感染者・死亡者を出してしまいましたが、世界各国で新型コロナワクチンを提供する計画が進められています。
まずは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ウイルスワクチンとは何なのかをご説明していきます。
ワクチンを接種する意味
ワクチンは体内にウイルスの抗体を生み出すものであり、予防に用いられるものです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染する前にワクチンを接種し、発症を未然に防ぐ目的でつくられています。
また、発病予防効果に加えて重篤化を防ぐ効果もあるとされています。
重篤化を防げるということは、インフルエンザ予防接種よりも優れているんですね!
残念ながらそういうわけでもありません。
実は、インフルエンザの予防接種にも重篤化を防ぐ効果があるとされているからです。
ただ、世界初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを開発したファイザー社などは、2020年3月中旬頃からワクチン開発に着手しはじめ、世界中の人々を救うために動いていたようです。
ワクチンの種類
海外で開発されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンが日本でも接種できるようになるんですか?
ワクチンの開発は国内外でたくさんの研究が重ねられています。
ワクチンの種類も多数あり、どのワクチンがいつ頃に日本で接種できるようになるかも異なってきます。
日本で提供されるワクチンが1種類とは限らないんですね。
どんな種類があるんですか?
大きくわけて2つの方法で働きかけるワクチンの開発が世界各国で進められています。
具体的にどのワクチンが提供されるかは、国が決める方針となっています。
不活化した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の一部や、ウイルスのたんぱく質の一部を体内に投与して抗体をつくる
- 不活化ワクチン
- 組換えタンパクワクチン
- ペプチドワクチン
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遺伝情報を無害化したウイルスやDNAプラスミドを体内に投与して抗体をつくる
- メッセンジャーRNAワクチン
- DNAワクチン
- ウイルスベクターワクチン
覚えるのが大変ですが、とにかくたくさんのワクチンが存在すると考えていいんですね?
2020年12月16日時点、WHOは臨床試験段階の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンが56種類あることを報告しました。
他にも臨床試験に入る前のワクチンが166種類あります。
これから世界各国で多様なワクチンの承認、そして提供があると期待して良いでしょう。
世界初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの誕生
ワクチンの開発にはどのくらいの時間がかかるんでしょうか?
開発には基礎研究・非臨床試験・臨床試験という3つの段階があり、一般的には10~15年を要するといわれています。
しかし、緊急性が高いということで国内・海外で急ピッチで開発が進められ、海外では1年足らずで開発に成功するという大きな成果もみられました。
すでに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの開発に成功していたなんて…。
希望が見えてきました。
2020年12月2日、アメリカの大手製薬会社であるファイザー社とドイツの無名の製薬会社であるバイオンテックの共同開発で誕生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン『mRNAワクチン』がイギリスで承認されました。
『mRNAワクチン』はウイルスの遺伝情報を伝達する物質を人工的につくり、注射で体内に投与するというものです。
開発から提供までどのくらい時間がかかるんでしょうか?
イギリスではワクチンの承認から1週間も経たない12月8日から接種が始まっています。
続いてアメリカでも『mRNAワクチン』の使用許可が下り、12月14日から接種が開始されたと報告されています。
日本の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの提供について
日本でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種できるようになる日は近いということですか?
厚生労働省は、2021年2月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの提供を始めることを計画していると述べました。
まずは医療従事者、続いて高齢者という順番で優先し、その他の一般人は4月以降に接種体制を確保するとしています。
イギリスやアメリカのようにすんなりはいかないんですね。
それぞれ国の方針があるため、ワクチン提供までの時間に差は出てしまいます。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)終息を目標とした大きな動きとなるため、私たちはこれ以上の爆発的な感染が起こらないように日々の感染防止に努めていかなければなりません。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性や安全性について
2020年12月、遂に世界初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンが誕生し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)終息への希望の光が差しました。
しかし、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは本当に効くのか?安全なのか?」という声も一部上がっています。
ここからは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性や安全性に関する3つのポイントをご紹介していきます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの有効性
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種した場合、どのくらいの効果が見込めるのですか?
ファイザー社による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは、95%の有効性があるとされています。
それは接種すれば95%の確率で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染を防げるという意味ですか?
感染ではなく、発病に対する予防効果が95%あるという意味です。
ファイザー社による臨床試験では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種した95%の人が発病を防ぐことに成功しています。
感染防止効果については実証が難しいという理由からデータも公開されていません。
インフルエンザ予防接種と比べると、どのくらい有効性が高いんですか?
インフルエンザ予防接種は大体20%〜60%の発病予防効果があるとされています。
比較すると断然新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの方が優れているといえます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの安全性は高いのか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの効果がすごく高いことは理解できました。
でも、安全なワクチンとされているんでしょうか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンに限らず、ワクチンの接種は稀に副反応による健康被害が発生します。
稀に…ですね。
万が一副反応が起きた場合、どんな症状がみられるんですか?
臨床試験の段階では、ワクチンを接種した患者の一部に関節の痛み・頭痛・倦怠感・筋肉痛などの肉体的な症状がみられたと報告しています。
また、アメリカではファイザー社などが開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種した一部の方に、激しいアレルギー反応がみられたことが報告されました。
今後は原因を突き止め、ワクチン接種に年齢制限を設けることを推奨するという流れになっています。
臨床試験をクリアしても、副反応が起こる可能性があるということなんですね。
ワクチンの接種を受ける方には事前に情報提供がされ、同意があった場合に接種を受けることができるようになります。
安全性や起こり得る副反応などの情報提供も行なわれるため、最後は自分の意思で受けるかどうかを決めることになります。
これからさらに安全な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンが誕生する可能性もありますよね?
もちろんです、ファイザー社などが共同開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは世界で初めて国に承認されたワクチンですから、成功も失敗も今後に活かされることになるでしょう。
私たちはより安全な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種できるようになることを願いましょう。
副反応が起こった場合はどうなるのか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種することに同意して実際に接種したとします。
もしもアレルギー反応などの副反応が起こった場合は、どうなってしまうんでしょうか?
たくさんの方が心配されている副反応が起こった場合の対応ですが、厚生労働省では、『接種に係る過失の有無に関わらず、ワクチン接種と健康被害の因果関係が認定された場合、迅速に救済を行う健康被害救済制度が適用される』としています。
具体的にどんな救済が行なわれるんですか?
健康被害救済制度にある予防接種健康被害救済制度では、次のように定められています。
- 治療に要した自己負担分の医療費を支給する
- 障害が残ってしまった18歳未満に対して年に4回、障害児養育年金を支給する
- 障害が残ってしまった18歳以上の場合は障害年金を支給する
- 亡くなられた場合は葬祭料と一時金を支給する
- インフルエンザワクチンの場合は一時金、または年金を支給する
国の制度で救済があったとしても、私たちがリスクをしっかり把握しておかないといけませんよね。
そのとおりです、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の完全終息には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは欠かせないものとなります。
正しい知識を身につけ、感染拡大防止のために何をすればいいかを自分の意思で判断していきましょう。
まとめ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が脅威的な感染力で新規感染者と死亡者を増やす一方で、世界各国で発病予防効果が非常に高いワクチンの開発が進められてきました。
アメリカのファイザー社などが開発した「mRNAワクチン」は、世界で初めて使用許可を得た新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンとなり、実際にイギリスやアメリカなどで国民への接種が開始されています。
日本でも2021年2月下旬以降に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種が開始される見込みであり、医療従事者、高齢者、そして一般へと接種対象が広がっていく予定です。
有効性95%といわれる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは稀に副反応も起こり得ますが、非常に高い発病予防効果があり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)完全終息に向けた希望となっています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンはとても頼もしい存在ですが、日頃の感染防止対策で気を抜かないようにくれぐれも注意していきましょう。
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ワクチンは予防接種になるんですか?
それとも治療目的で提供されるんでしょうか?