抗原検査キットとは？PCRとの違いや使用方法をわかりやすく解説
監修医師プロフィール
堤 直也
社会人経験の後、医学部学士入学を経て、医師となる。
国立病院機構等勤務のあと青い鳥会に勤務し現在に至る。
総合内科医、在宅医療の専門医として在宅医療の意味に真摯に向きあう。
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症（COVID-19）。
連日多くの感染者が確認されていますが、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染しているかどうかを調べるための検査方法には、PCR検査と抗原検査の2種類が存在しています。
この記事では抗原検査キットの特徴やPCR検査との違いや、使用方法についてわかりやすく解説していきます。
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目次
抗原検査キットの特徴とPCR検査との違い
抗原とは、体の中に侵入してきた異物のことを指します。
ウイルスだけでなく花粉や寄生虫なども抗原に該当しますが、体内に侵入してきた抗原の特徴を覚えて攻撃する役割を持っている抗体というものがあります。
つまり、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）抗原の特徴を覚え、抗体が反応するかどうかを調べるのが抗原検査キットの役割です。
まず始めに抗原検査キットの役割や特徴、PCR検査との違いについて紹介していきます。
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）感染の有無がわかる
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に関する検査には抗原検査以外にも、PCR検査、抗体検査の2種類があります。
抗原検査とPCR検査は、今現在新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染しているかどうかを調べることができます。
対して抗体検査は、過去に新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染していたかどうかを調べるためのものなので、現在感染しているかどうかはわかりません。
つまり、抗原検査で陰性と出たら新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染していないということになりますか？
ここがPCR検査との大きな違いのひとつでもありますが、抗原検査で新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の陰性判定の精度「特異度」はPCR検査よりもやや劣ります。
陽性反応が出た場合は新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染していると断定されますが、陰性の場合は採取した検体にウイルスが一定量いなければ陽性反応が出ず、陰性と判定されることもあるのです。
抗原検査とPCR検査を併せて活用する場合が多いのは、精度の違いが理由です。
PCR検査よりも簡単で早い
精度に関してはPCR検査の方が高いというのはわかりましたが、PCR検査に勝るメリットは何がありますか？
PCR検査は採取した検体サンプルを専用の薬剤にかけ、専用の機械を使って検査します。
検査結果が出るまでは数時間かかり、専用の機械がない場所でサンプルを採取した場合は搬送日も含まれるので検査結果が出るまで1～3日かかる場合もあります。
対して抗原検査は、特別な機器が必要なく検査キットがあれば誰でもすぐに利用でき、検査結果も15～30分で知ることができます。
簡単で早いならとても便利ですね。
でもどうして、PCR検査と抗原検査では精度に差が出るんですか？
抗原検査が診断を行うには、一定量のウイルスが必要です。
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染していたとしても、採取したサンプルに一定量のウイルスが含まれていなければ、陽性判定が出ないのです。
というわけで抗原検査は陽性の確定診断に用いることはできますが、陰性の確定診断に利用することはできないのです。
唾液のみで検査することができる
抗原検査キットでは、どんなサンプルで検査を行うんですか？
ほとんどの場合が、唾液で検査を行います。
以前は綿棒を使い鼻咽頭ぬぐい液でサンプルを採取していましたが、日本感染症学会が2020年5月26日に発表した報告にて、唾液と鼻咽頭ぬぐい液で同等の正確性があると認められたので、現在は唾液による検査が主流になりました。
唾液のみで検査ができて特別な機器も必要ないということは、自宅でも抗原検査はできるんですか？
その通りです。
自宅でも簡単に抗原検査ができる検査キットは多く発売されています。
使用方法や費用に関する情報は、下の項目で詳しく説明していきましょう。
抗原検査キットの使用方法を紹介
続いては、抗原検査キットの使用方法について紹介していきます。
自宅でも簡単に検査ができますので、興味がある方はぜひ利用してみて下さい。
必要と判断されれば保険が適用される
抗原検査キットはいくらくらいなんですか？
自宅で簡単に検査できるキットの場合、費用は会社によって異なりますが大体4,000円前後で購入できます。
アイチェックが販売している新型コロナウイルス感染症（COVID-19）抗原検査キットは4,400円（税込）です。
新型コロナ抗原検査＆抗体検査パックは6,600円（税込）です。
在庫があるかどうかも含めて、ホームページでチェックしてみましょう。
病院で新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の検査が必要と判断された場合でも、検査キットの費用が必要になりますか？
発熱や咳など新型コロナウイルス感染症（COVID-19）と思われる症状を発症していて、医師の診断で検査が必要と判断されれば、抗原検査は保険適用で診療できます。
その場合は自費で抗原検査キットを購入するのではなく、病院で検査を行います。
先ほどもお話したとおり、陽性の確定はできますが陰性の確定はできませんので、陰性でも二回目の検査を行う場合はあります。
自宅でもできる抗原検査キットの使い方
抗原検査キットは誰でも簡単に使えますか？
はい。
ひとりでも簡単に使えます。
使用方法に関しては、以下で流れに沿って説明していきましょう。
- しっかりと手洗いをした清潔な手で開封
- キット本体、滅菌スワブ、抽出チューブを取り出す
- 滅菌スワブを取り出し、舌の奥でスワブを転がして唾液を付着させる
- スワブを一旦置き、抽出チューブの先端キャップを取り外す
- 抽出チューブにバッファ液を垂らし、スワブを抽出チューブに挿入
- スワブの先端をバッファ液に浸してかき回しながら、液体を絞り出すようにする
- 抽出チューブにキャップを取り付ける
- 抽出された検体をテストデバイスの注入口に垂らす
- 15分から30分の間に出た結果を確認する
専用の検査機関に送らずに、その場で結果が確認できるんですね。
そうです。
抗原検査キットの使用方法は製品により使用方法に多少の違いはあるものの、大体の流れはこのような流れになります。
垂らす滴の数や、検査結果が出る時間には多少の違いがあるということを忘れないようにしましょう。
もしも自宅で行った検査で陽性反応が出た場合、どうしたらいいですか？
その場合はすぐに保健所へ連絡し、指示を待ちましょう。
抗原検査キットは陰性の確定診断ができないものの、陽性は診断ができますので、抗原検査キットで調べて陽性反応が出た場合は、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染しています。
自宅で行った検査でも、かかりつけ医または、自治体の相談センター、または保健所へすぐに連絡してその後の行動を決めるようにして下さい。
なるべく人との接触を避け、すぐに病院へ行くなどの行動はしないよう、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）感染予防に努めましょう。
まとめ
抗原検査キットの特徴とPCR検査との違い、自宅で簡単にできる使用方法を紹介してきましたが、参考になりましたか？
PCR検査よりも簡単で早く検査結果がでる抗原検査は、PCRに続いて2020年5月13日から保険が適用されるようになりました。
精度はPCR検査よりやや劣り、一定量のウイルスがなければ陽性反応がでないというデメリットはあるものの、陽性診断の確定ができ、早く結果がわかる点や自宅で簡単にできる検査キットの存在で、多くの方が利用しています。
自費でも比較的安く抗原検査キットは購入できます。
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染していないかどうか調べたいという方は、ぜひ利用を検討してみて下さい。
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