COLUMN

ICheckコラム

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査を受ける目的や必要性を詳しく解説

監修医師プロフィール

堤 直也

社会人経験の後、医学部学士入学を経て、医師となる。
国立病院機構等勤務のあと青い鳥会に勤務し現在に至る。
総合内科医、在宅医療の専門医として在宅医療の意味に真摯に向きあう。

診察時の道具

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で抗体を調べる目的や必要性を知っていますか?

PCR検査、抗原検査、抗体検査と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査には全部で3つの種類がありますが、それぞれで目的や必要性が異なり、調べているものや検査結果の正確性なども大きな違いがあります。

この記事では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で抗体を調べる目的や必要性だけでなく、注意点も合わせて解説していきます。

抗体検査を受けようか考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみて下さい。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査について

患者と話す医師

そもそも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査とは何なのか全く知らないという方も少なくないかと思いますので、抗体検査の特徴などを簡単に説明していきます。

過去に感染していたかどうかを調べる検査

ユーザー

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体検査で、何がわかるんですか?

ICheck

抗体検査でわかることは、過去に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染していたかどうかです。

PCR検査と抗原検査は今現在新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染しているかどうかを調べるものですが、抗体検査では現在の感染有無はわかりません。

過去に感染していると体内に抗体が残っていますので、その抗体があるかどうかで過去の感染有無を調べます。

ユーザー

抗体の有無を調べるとのことですが、その抗体とは何ですか?

ICheck

抗体とは、異物が体内に侵入してきた時にその異物にある抗原と特異的に結合して排除する働きをする分子のことです。

簡単に説明すると、抗体は外から体内に侵入してきたウイルスなどの悪い菌を排除するように頑張ってくれるものです。

侵入してきた病原体に対する抗体が体内にあれば、そのウイルスに感染する前に撃退してくれます。

ユーザー

つまり抗体が体の中にあれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも感染しないんですか?

ICheck

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対抗できる抗体があれば二度と感染しない保証になるのかという点については、未だに不明です。

しかし、抗体があればウイルスに感染するリスクが低下することは間違いありませんので、再感染の可能性は減るとされています。

抗体があれば絶対に二度と感染しないという保証はありませんが、一定の安心感を得られるのは間違いありません。

調べるのはIgM抗体とIgG抗体

ユーザー

抗体は全部で5種類あると聞いたのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査ではこの全てを調べているんですか?

ICheck

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査で調べているのは、IgM抗体とIgG抗体の2種類です。

感染してすぐに作られるIgM抗体は大体4週間ほどで減少して消滅しますが、IgM抗体の後に遅れて作られるIgG抗体は数ヶ月間に渡り血液中に存在します。

横浜市立の研究グループが発表した研究結果によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した376人中98%が半年後も中和抗体を保有していたと発表していますので、最低でも半年間は多くの方が体内に抗体を持ち続けます。

ユーザー

IgM抗体とIgG抗体を調べることで何がわかりますか?

ICheck

前でも言ったように、IgM抗体とIgG抗体は消滅する期間が違います。

抗体検査キットの中には血液中にある抗体をIgM抗体とIgG抗体で区別できるものもありますので、IgM抗体陽性だけが陽性だった場合、検査を受けた直近で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したということが考えられます。

IgM抗体とIgG抗体がともに陽性の場合はIgM抗体だけが陽性の時よりも感染したタイミングが早い(感染時から時間がより時間が経っている)ことになります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は無症状の場合もありますので、IgM抗体だけが陽性の場合は、今現在新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染している可能性が否定できません。

陽性と陰性の意味

ユーザー

抗体検査の陽性と陰性の意味を教えてもらえますか?

ICheck

今現在新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染しているかどうかを調べるPCR検査と抗原検査の場合は、陽性は感染している、陰性は感染していないという意味です。

抗体検査は過去の感染有無を調べるものなので、陽性は過去に感染していた、陰性は過去に感染していないということを意味します。

ユーザー

抗体検査の正確性はどうなっていますか?

ICheck

抗体検査はPCR検査や抗原検査と比較すると、正確性は非常に高いです。

陽性を陽性判定できる割合を示す感度と、陰性を陰性判定できる割合を示す特異度で正確性は判断していくのですが、感度も特異度もほぼ100%に近い数値を抗体検査では出すことができます。

しかしながら、100%ではありません。

100%ではない以上、検査結果が絶対に正しいとは断言することはできませんので、少なからず偽陽性や偽陰性が出る可能性があるということは事前に理解しておきましょう。

保険適用外なので自費診療

ユーザー

抗体検査は保険適用で受けることができますか?

ICheck

いいえ、保険は適用されません。

2020年3月6日からPCR検査が保険適用され、同年5月13日からは抗原検査も保険認可が了承されました。

これら2つの検査は医師から必要と判断された場合は保険が適用され、検査を受ける負担が軽くなります。

しかしながら現状では、抗体検査は医師からの判断有無を問わず、保険適用で検査を受けることはできません。

ユーザー

抗体検査の費用はいくらぐらいですか?

ICheck

病院によって異なりますが、相場は約10,000円前後です。

抗体検査キットをネットで購入して自宅に届けて自分で行う方法もありますが、この場合も値段は異なります。

大体2,500円から6,000円くらいで入手することができますので、病院で検査をするよりは安いです。

精度も病院と変わりませんので、自宅で自分のタイミングで検査をしたいという方は、抗体検査キットを購入して自宅で行いましょう。

ユーザー

自宅で検査する場合は唾液ですか?

ICheck

抗体検査は病院でも自宅でも、血液を検体とします。

PCR検査と抗原検査は唾液で行えるので非常に簡単ですが、抗体は血液中にあるので血液を検体とするしかないのです。

病院はともかく自宅で血液を採取するのは怖いという方も多いかもしれませんが、指先から1適だけ血液を採取すればそれを検体とできますので、簡単でとても楽です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査を受ける目的と必要性

作業する医師

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査について上記で説明してきましたが、ここからは抗体検査の目的や必要性について解説してきます。

自分に抗体があるかどうかを知りたい

ユーザー

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査を受ける目的は何ですか?

ICheck

自分に抗体があるかどうかを知りたい、過去に発熱や咳などの症状を発症していたがそれが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だったのかどうか知りたい、再感染を防ぐとされる抗体を持っているかどうかを知って安心したい等、抗体検査を受ける目的は人それぞれです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は現在進行系で調査が進められているウイルスなので、抗体を持っていることで必ず再感染を防ぐことができるかどうかも、どれくらいの期間抗体が体内に残っているのかも不透明な部分が多いのですが、抗体を持っていることで一定の安心感には繋がります。

ユーザー

抗体検査は必ず受けなければいけませんか?

ICheck

PCR検査や抗原検査は今現在の感染有無を調べる検査のため、医師から必要と判断されれば必ず受けなければいけない検査だと言えますが、抗体検査はそうではありません。

保険適用されていないことからわかる通り、必ず必要な検査であるとは言えません。

あくまで自分で検査を受けるかどうかを判断し、抗体があるかどうか知りたい方だけが検査を受けたら良いという立ち位置です。

ユーザー

医師から抗体検査を勧められることはありますか?

ICheck

医師から検査が必要と判断されるのは、PCR検査と抗原検査だけです。

医師から抗体検査を受けた方が良いと勧められることは、基本的にはありません。

しかし、過去に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染していたかどうかを調べたいという相談を解決するためには抗体検査を行うしかありませんので、そういった場合は別です。

PCR検査を正当な理由なく拒否したら罰則を科せられるといった条例案が否決となったことで話題になりましたが、今後も抗体検査を受けるかどうかの判断基準は必ず自分でできます。

そのかわり保険が適用されませんので、必ず自費診療になるということも忘れないようにしましょう。

渡航で陰性証明書が必要な場合も

ユーザー

抗体検査の陰性証明書が必ず必要な場面はありますか?

ICheck

現在、世界的に渡航に関しては大きく制限されており、PCR検査による陰性証明書は必須となっています。

さらに中国の場合、フライトに搭乗するためにはPCR検査の陰性証明書はもちろん、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)IgM検査陰性であることが条件となり、今後もさらに厳格化されていくことが予想されています。

ユーザー

中国以外では必要な国はありますか?

ICheck

中国以外では現在抗体検査陰性証明書が必須な国はありませんが、PCR検査による陰性証明書は必須です。

さらに入国前に各国の措置がいきなり変更になる可能性も否定できませんので、渡航する場合はPCR検査陰性証明書だけではなく、抗体検査陰性証明書も用意しておいた方が万が一の事態に備えることができるでしょう。

前にも言ったようにIgM検査陽性は直近で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染していたことを意味しますので、無症状で現在感染中であることも否定できません。

今は必要ないとしている国も今後は抗体検査の結果を必須とする可能性がありますので、渡航前には準備しておく方が安心です。

まとめ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査の特徴や目的、必要性についてまとめて紹介してきましたが、参考になりましたか?

PCR検査と抗原検査は今現在の感染有無の検査ですが、抗体検査は過去の感染有無を調べるという異なる目的があります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体を持つことで絶対に再感染はないと断言することはできませんが、過去に感染していたかどうかを知りたいという方は、現在は気軽に抗体検査キットを購入できますので、すぐに結果を知ることができます。

体内にある抗体の有無が気になるという方は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査の目的や必要性をしっかりと認識した状態で、ぜひ検査を受けてみて下さい。

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