COLUMN

ICheckコラム

新型コロナウイルスは腎臓への影響もあるのでしょうか?

監修医師プロフィール

リチャード・カシンスキー

2010年 京都大学大学院医学研究科博士課程後期修了(医学博士)
2014年 神戸大学医学部医学科卒業(医師)
2016年 ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院麻酔科・集中治療科フェロー修了後、東京大学大学院医学系研究科法医学教室客員研究員を歴任
現在 コンゴ共和国医療最高顧問、心和会 江東メディカルタワー総院長、都立広尾病院救命救急センター医師、スタンフォード大学医学部スタンフォードソリューション共同創設者、あしなが育英会評議員他を務める

コロナウイルスの腎臓への影響

ユーザー

コロナウイルスの感染によって腎臓に悪影響を与えたり、後遺症が残ったりするのでしょうか?

リチャード先生

腎臓との関連についても大事なトピックですね。
私の病院でも透析中患者さんがいらっしゃるのですが、透析していない人でもなぜか腎臓に影響が出ることもあるようです。

ユーザー

どのように気づくことができるのでしょうか?

リチャード先生

腎臓はサイレントキラーと言われていて、腎がんがあってもなにも訴えてこない特徴があります。
石が詰まった際などに強い痛みがありますが、その他の事は大抵静かに耐える臓器なんですよ。
簡単に言うと腎臓は、いわゆる和の心を持った臓器なんです。
しかしウイルスが感染することで、腎臓のダメージが重症であれば大きく症状が出る場合もあります。
症状が出るかどうか別として、腎臓の腎障害の度合いとコロナの感染の度合いは、うまく比例しているというデータも出ています。
なぜそのような事が起きるのかと言うと様々な説があるのですが、現代では誰も解明はできていないですね。

ユーザー

謎が多く、患者自身も気づきにくい臓器なんですね。

リチャード先生

有効な説は大きく分けて3つあります。1つ目は、コロナウイルスは元々腎臓の細胞であるACE2にくっつきやすい事です。腎臓の中でもくっつきやすい要素が何かあるのではないか、という説です。
2つ目はハイポキシアと言って、肺が真っ白な状態になることで酸素を取り込めなくなる事です。低酸素状態になることで脳や心臓、腎臓などの臓器にダメージが蓄積して悪くなってしまう説です。
3つ目血栓で、感染してしまうと血栓症が起きやすい特徴があります。
血流量でいうともう腎臓は体内でTOP2に入る臓器であり、腎臓は非常にたくさんの血液が入ってくる中でフィルタリングをしてくれています。
腎臓自体も大量の血液供給を受けていますが、これは腎臓自体への供給ではなく、体全体のフィルターとして血液の供給を受けているだけの役割なんです。その一部を自分の細胞活動に回しいるので、腎臓に回る供給量が減ってしまうことで栄養が来ない状況になってしまいます。
あくまで考察をしてみるとこのようなことが起きているのではという説なので、何が原因かはっきりとは解明されていません。

感染者の腎臓検査

ユーザー

ちなみに病院に行かずに自宅療養で治した方で、療養が終わった後は血液検査や腎臓の検査などを、一通り受けた方がいいのではないでしょうか?

リチャード先生

割合的にはそこまでは多くないですね。例えば10%の患者さんにこの傾向が見受けられるのであれば、療養後の検査を受けたほうがいいとなります。一方、データから見て取れる傾向はそれほどは高くなく1万人あたり7人ぐらいですね。
しかし、だからこそ1万人、1%にも満たない少ないケースではありますが、腎臓は2つしかないので潰れたらその後の人生は透析ですよ。
透析は週3回やらなくてはいけないですし、健康であったときと比べればもちろん弊害は多い場合が大半です。
リスクファクター無しでコロナに感染した60代男性と、感染していない60代男性を比べると腎障害が起きる割合はおよそ2倍ぐらいです。
馬鹿にはできないですし、今やっと少しずつ分かってきた現象ではあるので、もう少し調べたら1万人に100人ぐらいいるかもしれない可能性もあります。
それが大なり小なりどこまで腎障害が起きているかは別として、自然経過するものと私は考えたいですね。

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